疲労困憊した一週間 母の地獄めぐり②

車椅子に乗った母がCTスキャン検査室に運ばれていきました。 検査技師の方の声が病院の廊下に控えていたわたくしの耳にも届きました。 「これから、CTスキャンの撮影をします。出来るだけ、体を動かさないでいてください。5分くらいで終わりますので  気持ちを楽にしてくださいね」 明るくて、親切な言葉掛けで母の体の強張りも 少し解けるというものです。 母の声は聞こえませんでしたが、多分頷いた…

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疲労困憊した一週間 母の地獄めぐり①

5月25日の午後3時頃、母が呻き声を上げました。 「ううう、痛い、痛い」 隣室で時計を分解修理していた私は、母の呻き声に 動揺してしまい、秒針をうっかり曲げてしまいました。 秒針はとても繊細ですので、いとも簡単にぐにゃりと曲がります。悪いことに秒針ひとつで、時計は すっかり駄目になるのです。 気落ちしながら、母の部屋に入りました。 「どこか痛いのですか?」 「あら、花さん。私…

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真珠の首飾り 父と母の物語

1967年の夏、父は 琉球政府からの要請で2か月ほど 家を留守にしました。琉球は 戦後、アメリカ軍の支配下にあって その地を踏むには 日本の総理府発行の沖縄渡航専用パスポートが必要でした。父は 懸命に働き、無駄遣いをしない質実剛健な人でしたので、2か月間に ある程度のお金の余裕が出来たのだと思います。 日本に帰る直前に アメリカ人の友人から店を紹介されて、母のために何か贈り物を購入し…

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